Googleのすごさ|【講演レポート】スタンフォード大学 櫛田健児氏 その7 | イノベーション創出のヒント JMA GARAGE
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Googleのすごさ|
【講演レポート】スタンフォード大学 櫛田健児氏 その7

本コラムはスタンフォード大学の櫛田先生に講演いただいた内容を15回にわたり掲載しています。

アルゴリズム革命の衝撃とシリコンバレー:ディスラプションを起こし続ける経済圏 ⑦

スタンフォード大学 アジア太平洋研究所リサーチアソシエート
櫛田健児 氏

Googleのすごさ

今ディープマインドというのはGoogleマインドのものなのですね。Googleしか使えない。

これもシリコンバレーの面白いバランスなのですけれど。本当にコアなものについては。秘密厳守主義、守るべき情報はかたくなに守ります。

一報でオープンのものに対してはものすごくオープンなのです。ある程度オープンにしないといい味方はつかないですよね。例えばディープマインドの技術を買う時に、お金だけで釣ったわけではありません。

お金だけで釣れる人っていうのは多分釣るべき人ではなくて、ビジョンを共有するとか、「あなたの研究のあなたのスタートアップの世界に与えるインパクトは、わが社と組むのがベストなんです」という言い方ができるほどでなければいけないし、そのためには、ある程度オープンでなくてはいけません。

Appleの次期製品に関する新情報もガチガチにガードされて漏れていませんよね。

次期製品は大体サプライズであり、Google、iPhoneでもその点ではガードが非常に硬いのです。我々が想像しないようなプロジェクトも今色々進行中ですので、これは本当にすごい世界になってきているので、現在は具体的にはまだ言えない、このようなバランスなのです。

イーロン・マスクがPayPalを1.3ビリオンで売った後の話しです。彼は、世界にエネルギー革命を起こしたかったのですね。そのころ、スタンフォード大学からちょっといったカフェでバッテリーオタクの人と会って、意気投合して未来の話を4時間ぐらいずっとしていたそうです。バッテリーオタクの人は電池で飛行機飛ばしたかったそうですが、やっぱりエネルギー革命は車から、そして車プラスインフラからということで、飛行機はまだちょっと早いから自動車でいこうというテスラの構想がそこで出来上がったということなのです。

つまり、オープンはオープンとして、そのバランスが大事なのです。なんでもガードして守ればいいとうわけではありません。アルファ碁で名人が負けたことにしても、その時、Googleがディープマインドのシステムにどれだけプロセッシングパワーをぶつけたのかは外部からではわかりません。でもこれが1番ビックニュースだったのです。

約1年前の去年の7月に、Googleがディープマインドを自前のデータセンターの空調オプティマイゼーションに活用したのです。目的は消費電力の軽減です。GoogleによるとGoogleのデータセンターというのは世界の消費電力の0.01%を使います。これはものすごい量の電力を必要とします。1千億円級の巨大設備を3桁台、具体的にいくつかもっています。だから寒いところに設置したりして工夫していたようですが、自前の空調オプティマイゼーションを実行したら、なんと空調の効率を40%も上げることができたのです。電力消費も15%も減らせました。これは効率悪いものを効率よくしたのではなくて、非常に効率よかったものをさらに効率よくしたわけです。

白物家電という言葉ありますけど、白物AIが登場したらどうでしょう?例えば月額10ドルでディープマインドを誰でも使えるようになったらどうしますか?何事も先端をいくものがみんな使えるようなものになった時こそ大きく動きます。Googleはこういうことを平気でやる会社です。

1番インパクトあるのは我々が予想しないことに対して、誰かが使いだしたらこれはすごいということになって、次のディスラプション(崩壊)というのはだいたいみんな予想してない所から起きますので、次のディスラプションこれだ、と話す人がいたらそれはほぼ確実に間違えているといえます。ですので、あえて次のディスラプションは予想するのではなくて、次に何か来るよと身構えている方が正しい姿勢だと思っています。

Googleの人類への恩恵というのは検索エンジン、これだけでもすごいのですけど、資源配分を大きく変えたことです。Googleこそが情報の蓄積能力と処理能力を希少なリソースから豊富なリソースへ変えた立役者です。元来、情報の蓄積能力と処理能力というのは希少リソースだったわけですね。石版掘らなくてはいけないし、算数を編み出さなきゃいけないし、数学を発明しなくてはいけない。計算と情報の処理とか蓄積能力というのはまだまだ、つい最近まで希少リソースがゆえに人力もかかりコストもかかっていたわけです。

2007年ぐらいから急発展が起きたのですね。スマートフォンの到来、ムーアの法則上、どんどん倍々ゲームでプロセッシングパワーが増えました。それにともなってセンサーの価格を劇的に下げるナノテクとマテリアルサイエンス、スタンフォードでも様々な研究が進みました。これも豊富なプロセッシングパワーをぶつけることによって新しいセンサーに使うためのマテリアルをつくれるようになり、センサーが安くなったということです。

講演時のプレゼン資料は下記よりダウンロード頂けます。
https://event.jma.or.jp/algorithm_revolution

櫛田 健児

櫛田 健児
スタンフォード大学アジア太平洋研究所
Research Scholar

1978年生まれ、東京育ち。父親が日本人で母親がアメリカ人の日米ハーフ。2001年6月にスタンフォード大学経済学部東アジア研究学部卒業(学士)、2003年6月にスタンフォード大学東アジア研究部修士課程修了、2010年8月にカリフォルニア大学バークレー校政治学部博士課程修了。情報産業や政治経済を研究。現在はスタンフォード大学アジア太平洋研究所研究員、「Stanford Silicon Valley – New Japan Project」のプロジェクトリーダーを務める。おもな著書に『シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃』(朝日新聞出版)、『バイカルチャーと日本人 英語力プラスαを探る』(中公新書ラクレ)、『インターナショナルスクールの世界(入門改訂版)』(アマゾンキンドル電子書籍)がある。

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