シリコンバレーで起こっている革命とは?|【講演レポート】スタンフォード大学 櫛田健児氏 その3 | イノベーション創出のヒント JMA GARAGE

シリコンバレーで起こっている革命とは?|
【講演レポート】スタンフォード大学 櫛田健児氏 その3

本コラムはスタンフォード大学の櫛田先生に講演いただいた内容を15回にわたり掲載しています。

アルゴリズム革命の衝撃とシリコンバレー:ディスラプションを起こし続ける経済圏 ③

スタンフォード大学 アジア太平洋研究所リサーチアソシエート
櫛田健児 氏

シリコンバレーで起こっている革命とは?

シリコンバレーで起きている、特に最近のディスラプション(崩壊・混乱)の特徴は、既存の業界の境界線を打ち破るイノベーションです。

もっともわかりやすいのはスマートフォンです。通信業界ではそれぞれの業界に世界のリーダーがいました。

そして、当時それぞれ業界の境界線を越えては競争をしていませんでした。携帯電話はノキアとかソニーエリクソン、カメラは日本のJVCビクターやパナソニック、ソニーなど。ポータブルゲーム機はソニー、任天堂と。

POS端末はNECとか富士通とかIBMで、スキャナーはエプソン、複写機はリコー、とこんな感じです。

電子書籍は当初ソニーが手掛けていましたが、キンドルにあっという間にやられましたし、最近は周辺機器専用ディスプレイ、例えばソーラーパネルなども、以前は専用のディスプレイがあり、どの程度発電しましたと表示されていましたが、それも今ではタブレット操作で、アプリで確認できる時代です。

温度計や体重計など、日本の中小企業が世界の9割以上マーケットシェアとっていたニッチ産業でも、同様のことが起きていますし、ピアノの練習で使うメトロノームも、スマートフォンにとって代わり、メトロノーム市場は大打撃を受けました。スマートフォンをつくった人でさえ、メトロノームの世界市場をとれるなんてまったく考えていなかったわけです。今まで予想してなかったところで、一気にすべてを持っていかれたということです。

ざっと今挙げましたが、それぞれの業界の売り上げは、スマートフォン前とスマートフォン後ではガクッと落ちこんでいます。それほどの衝撃度があったわけです。

では、これからAIが何にでも入ってくるとどうなるのですか、という疑問がおきます。

今まで競争にさらされていなかったところが、一気に競争にさらされる可能性が十分のではないか、と。このような話をする場合、まず脅威を見せてから、希望を見せるのがベストです。まず、ここ15年でS&P500の会社の52%が消滅しています。

1955年の時の平均の企業の寿命は61年でしたが、2015年の時点では17年と一気に縮みました。

これは何を意味するかというと、ディスラプト(崩壊)されたのです。S&P500圏内の企業ですから、アメリカで企業として「ディスラプトされたらそれはすでに淘汰されていることを示唆しています。

ディスラプト(崩壊)された後は新しいモノやサービスにリプレイス(置き換え)されています。

日本では、ここまで極端ではないかもしれませんが、この流れが日本に来ないという根拠はよくわかりません。

などと思っていましたら、シャープが1回国から救済されてそこから中国に売却されて、また、東芝もある程度国から救済されるということが起きています。そのようにはならない企業もかなりあるのではないかという気もします。では今後、日本の自動車メーカーに同様の危機が起きた場合に、実際に救済されるのか?というのはクエスチョンでもあります。

講演時のプレゼン資料は下記よりダウンロード頂けます。
https://event.jma.or.jp/algorithm_revolution

櫛田 健児

櫛田 健児
スタンフォード大学アジア太平洋研究所
Research Scholar

1978年生まれ、東京育ち。父親が日本人で母親がアメリカ人の日米ハーフ。2001年6月にスタンフォード大学経済学部東アジア研究学部卒業(学士)、2003年6月にスタンフォード大学東アジア研究部修士課程修了、2010年8月にカリフォルニア大学バークレー校政治学部博士課程修了。情報産業や政治経済を研究。現在はスタンフォード大学アジア太平洋研究所研究員、「Stanford Silicon Valley – New Japan Project」のプロジェクトリーダーを務める。おもな著書に『シリコンバレー発 アルゴリズム革命の衝撃』(朝日新聞出版)、『バイカルチャーと日本人 英語力プラスαを探る』(中公新書ラクレ)、『インターナショナルスクールの世界(入門改訂版)』(アマゾンキンドル電子書籍)がある。

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