【#22:M&Aの領域設定】~技術者こそ経営者を目指せ!~ イノベーションリーダーが知っておきたい30のチャート | イノベーション創出のヒント JMA GARAGE

【#22:M&Aの領域設定】~技術者こそ経営者を目指せ!~ イノベーションリーダーが知っておきたい30のチャート

日本能率協会の上席アドバイザーエグゼクティブフェローの五十嵐氏による本連載コラム。
今回のコラムでは、M&Aの戦略を策定していくうえでの、領域設定についての考え方をご紹介します。

前回のコラムでは、企業の非連続的成長の手段として最も効果的であるM&Aのプロセスについて説明しました。

今回のコラムでは、その要となる第1フェーズ「M&A戦略策定の考え方」を示します。

ターゲット事業領域の策定

M&A戦略策定に際しては、経営戦略に基づく事業ポートフォリオ戦略が策定されていることが必要です。

事業ポートフォリオ戦略により、M&Aを実施するターゲット事業領域を明確化させます。
ターゲット企業はターゲット事業領域において、前述の様に自社の経営資源を提供することにより大きく成長・発展が見込まれる魅力的なビジネスモデルやその要素、チャネル、技術等を有していることが必須です。

大きな事業成長が期待できるターゲット事業であっても、自社の事業領域から大きくかけ離れた飛び地的な領域、つまり自社には当該事業領域に対する経験知がない場合には、参入することは容易ではありませんし、買収後の経営統合も困難が予想され、M&Aの成功確率も下がってしまいます。

その際には自社のコア事業領域に近接する領域であり、かつターゲット事業領域にも近接する初期参入領域を検討し、まずはそこに参入し、ターゲット領域への足場を固めることが必要となります。

Chart22:M&Aの領域設定

初期参入領域は自社コア事業の近接領域で

初期参入領域へは、自前で参入の場合もあれば、M&Aにより初期参入領域に存在する企業を買収することもあります。すなわち、自社コア事業の近接領域での足場を固め、次いでターゲット領域への自前での参入、あるいはM&Aによりターゲット領域にある事業の獲得を図ることが良いと考えられます。
初期参入領域にM&Aによって候補企業を獲得し、続いてターゲット領域への参入を果たすべくボルトオンM&Aを実施する例は多くの企業で実施例をみる事ができます。

M&Aの領域設定のポイント

最後に、上記の内容をまとめておきます。

【ポイント1】事業ポートフォリオ戦略に基づきターゲット事業を中心としたM&A戦略を構築する
・ターゲット事業の明確化: 製品、チャネル、技術 等
・ターゲット事業の周辺領域 (隣地) への拡大: コア事業との距離感、シナジー
・ターゲット領域が隣地の外に存在している場合、隣地内の初期参入領域のインサイダーになり、その上で隣地であるターゲット領域に参入する
【ポイント2】そのうえで、財務戦略の整合性を見極める(借り入れの許容範囲など)

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五十嵐 弘司

五十嵐 弘司
1980年に味の素(株)入社、バイオ精製工程のプロセス開発に従事。1998年からアメリカ味の素(株)アイオワ工場長、技術開発センター長を経て上席副社長。2009年、味の素(株)執行役員経営企画部長、その後、取締役常務執行役員、取締役専務執行役員に就任。
中期経営計画の策定、M&Aの実務実行など、味の素(株)で経営の中枢を担う。また、技術統括・情報統括として、イノベーションの実現、グローバル展開、ICT活用やデジタル化を推進した。
現在、一般社団法人日本能率協会上席アドバイザー エクゼクティブフェロー、公益社団法人企業情報化協会上席顧問 エクゼクティブアドバイザー等を歴任し、日本産業界の再成長にむけ取組み中。
「競争優位を実現する成長戦略と経営基盤」ほか、企業経営に関わる多数の講演実績がある。著書「技術者よ、経営トップを目指せ!」(2019年11月、日経BP)を出版。

近日公開予定のChart(各記事公開後にリンクが貼られます)

Chart15:企業価値を算出する方法(DCF法)
Chart16:企業のかたち
Chart17:経営のスタンス
Chart18:「これまで」の経営戦略、「これから」の経営戦略①
Chart19:「これまで」の経営戦略、「これから」の経営戦略②
Chart20:2類型ある企業成長の取り組み
Chart21:M&Aのプロセス
Chart22:M&Aの領域設定(本コラム)
Chart23:M&Aを成功に導く要因

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