【魚眼 虫眼 鳥瞰】 経営は人間社会のなかの生きものである
月刊情報誌『JMAマネジメント』の連載記事の一部をご案内いたします。
「経営にはゾルレンはない。ザインの追究、これが大切である」という言葉がある。この名言は、戦後、経営やマネジメント分野のコンサルタントとして活躍した岡田潔(元・社団法人日本能率協会 常務理事)が、35年にわたる「経営調査」から導き出した『経営生きもの論』のなかの見解の1つだ。
ゾルレン(独:sollen)とは、当為、「かくあるべし」というお手本、行為であり、ザイン(独:sein)は、実在、「かくあり」という存在、考え方を意味する。経営にかくあるべしという目標や理想は不要なのかという疑問をもつかもしれないが、岡田が「経営とは人間がつくった生きものである」と捉えたことをベースに考えれば、経営に決まった結果があるのではなく、「現実を捉えての目標が必要である」ということは理解できよう。
また、多くの日本人は、ゾルレンを好むという評価がある。講演会やセミナーなどに出席すると、そこで「考え方」が十分に示されていても、実践方法の解説がなかった場合、「どのようにすればいいのですか?」と反射的に質問が出ることは多い。考え方はザインに、実践方法がゾルレンにつながるものであり、このことは、日本人がゾルレンを求めたがる傾向を示している。ちなみに、欧米人は一般に、考え方がしっかり説明されたら、やり方は自分の自由と考える。
ゾルレンを求める日本人であったからこそ、日本が戦後急速に復興、発展できたわけで、単に悪いというものではない。
岡田が未来に向けて整理した『経営生きもの論』は、経済成長真っ盛りの時期の論考ではあるが、その内容はいまもこれからも通用するに違いない。人間社会において経営というものが行われているからこそ、そこにはさまざまな要素や因縁、因果、矛盾があり、理だけでは割り切れないと捉えたのだ。だからこそ、経営を生きものに例え、ザインの追究を大切にするという考えを導き出したのだろう。
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