ドローンに無人配送車…新型コロナ拡大を防ぐ中国の「無人化技術」、活用の実態とは その2 | イノベーション創出のヒント JMA GARAGE

ドローンに無人配送車…
新型コロナ拡大を防ぐ中国の「無人化技術」、
活用の実態とは その2

2020/3/13のYahoo!ニュースへの寄稿記事を一部改編の上、著者の許可を得て転載しております

無人配送ロボットが物資を運ぶ

人と人の接触を避けるテクノロジーとして、無人配送ロボットを活用しようという動きもあった。

新型コロナウイルスの流行と春節休暇の延長で、中国の物流業界は人手不足が深刻化した。自社物流を持つ大手各社は、この時期に無人配送サービスの実施を始めた。配送車に荷物を積み、配送指令を出すと、配送車が自動的に障害物を避けてルートを決め、送り先に荷物を配送してくれるというものだ。

▲ 配送をする自動運転車
(大手ECの京東(JD.com)のweibo公式アカウントより)

例えば中国EC(電子商取引)大手の「京東(JD.com)」は武漢市内で、「スマートデリバリーロボット」が配送を開始したとweiboの公式アカウントで明らかにした。

また、IT大手の「百度(Baidu)」は同社の自動運転オープンプラットフォーム「Apollo」と、運搬用の自動運転車開発の「新石器(Neolix)」が共同開発したスマート自動運転車を災害対応のために導入。新石器の発表によると、これらの自動運転車は病院に食事を届けたり、消毒液を噴射し街の消毒を行ったりしたという。

▲ 食事を運ぶスマート自動運転車
(Ele.me(餓了麼)のweibo公式アカウントより)

また新型コロナウイルスの感染拡大下にあって、感染リスクが最も高いのは、感染症病棟で働く医療関係者だと言えるだろう。患者と医療関係者の接触を最小限にすべく、医療現場でもロボットが活躍した。

例えば広東省の人民医院の感染症病棟には、「平平(Ping Ping)」と「安安(An An)」と名付けられた2台の無人搬送ロボットが導入された。ロボットを開発した塞特智能(SAIT)の発表によると、2台のロボットは役割分担をし、医療廃棄物や衣類の回収のほか、薬や食事の配達を担ったという。

2台のロボットは病院内のフロアレイアウトや作業環境を自ら識別し、収集したデータを蓄積。配送や回収をする各地点を結ぶルートをつくり、効率良く移動する。自らドアを開閉し、エレベーターに乗り、障害物を避け、充電器に戻ることもできるという優れものだ。

▲ 広東省の人民医院の感染症病棟に導入された無人配送ロボット「平平」
(賽特智能(SAITE)のWeChat公式アカウントより)

これらの無人搬送ロボットが使われているのは、限られた病院のみだった。ただ、このような感染症医療の現場において、ロボットが患者や医療関係者間の感染リスクを低下させるという点で効果を発揮する可能性を明らかにした事例と言える。

このように配送や物資の運搬を行うロボットは以前より存在している。筆者も展示会などではよく目にしていた。ただ、基本的には実験段階のものが多く、日常的に多く使われているということはあまりない印象だった。

新型コロナウイルスの感染拡大下で、予期せぬ形ではあるが実践的に利用される機会が増えたことで、開発する各社は機能を検証する機会を多く得られたのではないだろうか。配送ロボットや関連するテクノロジーは、今後進化のスピードが上がるかもしれない。

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Yoriko Takizawa

Yoriko Takizawa

滝沢頼子(たきざわ よりこ)株式会社hoppin 代表取締役 CEO。 東京大学卒業後、株式会社ビービットに入社し、UXコンサルタントとして大企業を中心に多くの企業を支援。上海にも駐在。 その後、上海のデジタルマーケティング会社を経て、日本にてEdtech系スタートアップへ。2019年に、中国ビジネス視察ツアー・コンサルティング等を行う株式会社hoppinを立ち上げ。 2020/ 5/20 【見逃し配信】「デジタル最先端・中国の今 ~アフターコロナを探る~」
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